リウマチ膠原病科
概要
特色・専門領域
平成2年7月の東京都立 多摩総合医療センターリウマチ膠原病科(旧都立府中病院リウマチ膠原病科)開設以来、すでに18年余の期間が経過し、多数の患者さんの診療にあたってきました。当科の診療対象となる関節リウマチ、全身性エリテマト−デス(SLE)、強皮症、多発性筋炎、血管炎、強直性脊椎炎などのリウマチ性疾患・膠原病では、病気の原因はよくわからない免疫系の異常であると考えられています。自己免疫疾患と一般に言われ、本来であれば体内に侵入した異物に働く免疫の働きが自分を傷害するようになったものと考えられています。傷害される部位は結合組織という組織で、関節軟骨、筋肉、血管など体の各所に広く分布する組織です。いろいろな所に病変が出現する特徴があり、胃だけ心臓だけといった器官だけの障害とは違った具合の悪さが特徴とも言えます。
最も多い疾患は関節リウマチですが、関節軟骨やその近傍の骨が障害されます。そのため痛みが出たり、支持性に障害がでたりして関節機能が障害されます。このように悪くならないように、まず薬物療法が中心になります。薬は痛み止めに加え免疫を抑えるようなものや異常免疫を調整するようなものが使われます。最近、関節破壊の仕組みが詳細に分かってきました。破壊に働くいろんなサイトカイン(細胞間の情報伝達に働く蛋白)の働きや病態に関わる細胞や分子の機構が分かってきており、それを選択的に抑止する生物学的製剤が出てきて、その威力を発揮しています。
SLEなどの膠原病はリウマチ内科で治療されます。ステロイド薬や免疫抑制薬などで異常免疫を抑えることで改善が得られますが、関節リウマチで成功した生物学的製剤と類似の薬が遠からず開発されることと思います。
残念ながら関節障害が進み日常生活に支障をきたすようになった場合には、リウマチ外科手術で回復を図ります。人工関節置換術が主だった治療になります。人工関節置換術では本来の関節軟骨が人工物(インプラント)になりますので、リウマチ性の関節炎をほぼ永久的に抑えることはできますし、壊れた関節の支持性も再建でき痛みもほぼなくすことが出来ます。当院では、感染予防のため、最高ランクのクリーンルームにて手術を行っています。人工関節は、本来の正常な関節よりは動く範囲が多少制限され、長年の間に弛みが生じることがありますが、近年のインプラントは材質や形状に改良が重ねられ、耐久性は向上してきています。また、人工関節置換術以外にも、手指や足趾の変形矯正手術なども症例が増えています。
加齢とともに人間は変形性関節症といい、関節軟骨の減少とそれに伴う骨増殖が特徴な病気で痛みが出たり、動きが悪くなったりします。これも広い意味のリウマチ性疾患に入り関節リウマチと同様に障害をきたすものです。リウマチ外科では豊富な人工関節手術の経験を生かし治療に取り込んでいます。
東京都立多摩総合医療センターリウマチ膠原病科は内科系医師と整形外科系医師が一緒に従事していいる専門科です。このような形態をとる専門科は全国的にも珍しく、そのメリットを最大限生かして診療しています。
主な医療設備や専門的治療
- MRI(核磁気共鳴画像)
- 内臓器病変、脊椎脊髄病変、関節病変などで、通常のX線写真では撮像されない軟部組織の病変の詳細が撮像できます。
- CT(コンピューター断層撮影)
- 内臓器病変、脊椎脊髄病変などで、詳細な水平方向の断層写真が撮像されます。CTで意味ある画像がえられない軟部組織病変では、MRIが用いられます。
- 骨塩定量(DEXA)
- 「骨粗鬆症」は、「リウマチ・膠原病」の方では、しばしば、みられます。骨折発生の予防という点から、「骨粗鬆症」の治療は大切です。DEXAは、脊椎、股関節などの部位で、X線とコンピューターを用いて、「骨塩量」を測定する器械です。
- クリーンルーム (clean room)
- 手術室は一般の病室に比べて空気中の細菌数などに関して清潔度の高い環境が保たれるように設計されていますが、その手術室の中でも更に清浄度を高めた部屋がクリーンルームです。 人工関節置換術などを行う際に使用しています。
- パルス療法
- ステロイド剤やエンドキサンなど免疫を抑える薬を短期間少し多めに使います。膠原病のコントロールをつけるのに行います。
- 白血球除去療法
- これも自己免疫に関する白血球を除去することで関節リウマチなどを改善するのに利用しています。
- 生物学的製剤(インフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブ、アタリムマブ)
- 重大な副作用を起こさないように十分に感染症の有無や疾患が無いか調べた上で使用しています。
- 人工関節
- 股関節、膝関節が最も多く使われます。他に、肘関節、指関節、足関節なども行っています。
- フットポンプ
- フットポンプは足部を空気の力で圧迫することで、足部にたまった血液を心臓へ向けて戻すのを助ける装置です。 手術直後は下肢の運動が制限されがちなため、深部静脈血栓症の発生のリスクが高くなります。そこで、手術後にフットポンプを使用して下肢の循環を促し、深部静脈血栓症のリスクの軽減を図っています。深部静脈血栓症は肺塞栓の重大な障害の原因になりますので、この予防には力を入れて取り組んでいます。
- 各種装具
- 頚椎固定装具や関節の支持装具は日常生活に大いに役立ちます。これらも患者さんに合わせて作成しています。
診療実績
| 入院疾患内訳 | 2009 | 2010 |
|---|---|---|
関節リウマチ |
368 | 224 |
全身性エリテマトーデス |
37 | 44 |
強皮症(全身性硬化症) |
16 | 29 |
皮膚筋炎・多発性筋炎 |
9 | 20 |
混合性結合組織病 |
3 | 4 |
ANCA関連血管炎 |
5 | 19 |
側頭動脈炎 |
2 | 2 |
大動脈炎症候群 |
1 | 4 |
その他の血管炎 |
2 | 18 |
ベーチェット病 |
1 | 1 |
成人発症スティル病 |
0 | 8 |
シェーグレン症候群 |
3 | 5 |
その他 |
12 | 65 |
| 合計 | 459 | 443 |
スタッフ紹介
| 職 | 医師名 | 専門分野等 |
|---|---|---|
| 副院長 (リウマチ内科) |
いなだ しんいち 稲田 進一 |
リウマチ性疾患、膠原病臨床一般 日本リウマチ学会評議員・指導医 日本内科学会認定内科医 日本感染症学会感染症指導医 日本臨床免疫学会評議員 |
| 医長 (リウマチ内科) |
すぎい しょうじ 杉井 章二 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 日本リウマチ学会専門医・指導医 日本内科学会認定内科医 |
| 医長 (リウマチ外科) |
にしかわ たくじ 西川 卓治 |
関節リウマチ、人工関節・リウマチ外科手術、骨粗鬆症 日本リウマチ学会専門医 日本整形外科学会認定専門医・リウマチ医 |
| 医長 (リウマチ内科) |
しまだ こうた 島田 浩太 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 日本リウマチ学会専門医・指導医 日本温泉気候物理医学会温泉療法医 |
| 医員 (リウマチ内科) |
ぬのかわ たかひろ 布川 貴博 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 日本内科学会認定内科医 日本腎臓学会専門医 |
| 医員 (リウマチ外科) |
ももやま げん 桃山 現 |
関節リウマチ、リウマチ外科手術、人工関節 |
| 医員 (リウマチ内科) |
ながい よしき 永井 佳樹 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 日本内科学会認定内科医 |
| 医員 (リウマチ内科) |
みよし ゆうじ 三好 雄二 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 日本内科学会認定内科医 |
| 常勤的 非常勤医員 (リウマチ内科) |
よこがわ なおと 横川 直人 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 米国内科専門医 米国膠原病専門医 日本内科学会認定内科医 日本ヒドロキシクロロキン研究会事務局長 |
| 常勤的 非常勤医員 (リウマチ内科) |
しろと かつあき 白戸 克明 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 日本内科学会認定内科医 |
| 常勤的 非常勤医員 (リウマチ内科) |
ちねん なおふみ 知念 直史 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 日本内科学会認定内科医 |
| 常勤的 非常勤医員 (リウマチ内科) |
わたぬき さとし 綿貫 聡 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 日本内科学会認定内科医 |
| 常勤的 非常勤医員 (リウマチ内科) |
うい むつひと 宇井 睦人 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 日本旅行医学会認定医 日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会 副代表 |
| 常勤的 非常勤医員 (リウマチ内科) |
いが しょうこ 伊賀 祥子 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 |
| 常勤的 非常勤医員 (リウマチ内科) |
しまむら さなえ 嶋村 抄苗 |
関節リウマチ、その他の膠原病疾患全般 |
| 非常勤医員 (リウマチ内科) |
こうそかべ しげる 香宗我部 滋 |
内科系リウマチ、膠原病疾患全般 日本内科学会認定内科医 日本リウマチ学会専門医・評議員 |
| 非常勤医員 (リウマチ内科) |
ひらまつ かずこ 平松 和子 |
内科系リウマチ、膠原病疾患全般 日本内科学会認定内科医・専門医 日本リウマチ学会専門医・指導医・評議員 日本リウマチ財団登録医 日本アレルギー学会専門医 |





